11月3日の火曜日に行われる、アメリカ大統領選挙の投票。妨害発言にさえぎられる議論にならない9月末のテレビ討論会や、トランプ大統領の新型コロナ感染による短期入院など、まさに異例ずくめの展開で、日々選挙活動が進んでいます。コロナ禍の中での投票ということもあって、4年前よりもさらに先行きが見通せない混とんとした状況について、今朝はニューヨーク在住のジャーナリスト、津山恵子さんに回線をつないで、お伺いしました。

Q 期日前投票はどのような方法で、どれくらいの人が既に終えていますか

投票所と同じような場所、コミュニティセンターなどに一定期間行きます。例えば、ニューヨーク州は10月24日から11月1日、南部テキサス州などでは、先週から始まっている。報道では、きのうまでに4200万票。2016年は、4700万票だったので、過去最高水準になりそう。2016年の総投票数の1億3800万人だったので、3分の1を切るぐらいがすでに投票した。

現在、新型コロナウイルスの第3波が止まらない勢なので、投票日の「密」を避けるため、期日前投票に人々が殺到している。

Q 不正が起きるとの指摘がありますがどのような状況でしょうか

「不正が起きる」と言い続けているのは、トランプ大統領で、捜査当局は「不正は起きない」と発表している。さらに、カリフォルニア州では、トランプ氏の共和党陣営が、偽の郵便投票箱を設けている。これでは、共和党がその中にあった民主党の票を捨てると思われても仕方がない。カリフォルニア州政府は、投票箱を撤去するように命令している。

Q 期日前投票所での様子はどのようなものでしょうか

早くに始まったテキサス州やジョージア州は、南部で共和党支持者の多い州なので、民主党に投票する可能性が高い黒人などへの「投票妨害」が起きている。例えば、黒人やマイノリティが多い地域の期日前投票所の数を減らしている。このため、朝4時から並ぶ人がいて、長蛇の列が続き、投票まで10時間、11時間かかるという例が伝えられている。

Q 州によってこうした状況は異なるのでしょうか

共和党が強い州と民主党が強い州は異なる。

今は起きていないが、心配されるのは、白人至上主義者、トランプ氏の支持者が、「不正が起きないように自警団」「投票の監視をボランティアする」という理由で、銃などを持って投票所に来る可能性があること。そうすると、銃を怖がる人が投票に来なくなったり、銃を規制するべきだとする民主党支持者と対立するという「トラブル」が起きるかもしれない。

Q すんなりと投票結果が出るのでしょうか

問題は郵便投票。こちらも「密」を避けるために急増している。このため、郵便システムが混乱するかもしれない。また、州によって、投開票日から何日かたっても消印が有効であればいいという州もある。

このため、直接投票する支持者が多いトランプ氏が、113日に先行し、それからしばらくたって、バイデン氏への郵便投票の集計が終わって、勝敗が決まるという見通し。

Q このあと日本時間午前10時からのテレビ討論会はどうなりそうですか

まさに今晩が最後の討論会。9月29日の討論会では、トランプ氏が自分の制限時間を超えて話し続けて「討論」にならず、彼の支持率も落ちた。このため、今回は、討論会運営委員会が、発言時間ではない候補者のマイクをミュートにする、と発表した。この結果、きちんと「討論」になって、決めかねている無党派層が、どちらに投票するのか決めることができるようになるかどうか。