今日は9月11日。今から19年前、2001年の9月11日は、イスラム過激派による、アメリカ同時多発テロ事件が起きた日です。

およそ3000人もの命が奪われました。ニューヨーク・マンハッタンのワールド・トレード・センターでは、ハイジャックされた2機の旅客機が激突し2つの高層ビルが崩落。その後現場は「グラウンド・ゼロ」として整備され、犠牲者の方々の追悼場所となっています。

ジャーナリスト、津山恵子さんに、今年の911メモリアル・デーについてお伺いします。津山さん、お早うございます。 まず、津山さんは毎年グラウンド・ゼロで行われるメモリアル・デーを取材されているということですが、日本時間では今夜予定されている、コロナ禍の今年の追悼式典はどのようになりそうでしょうか。

津山:2003年から現場を取材してきたが今年は一時帰国中で取材できず。最初に取材した2003年に数千人が集まった追悼式典は、2006年には数百人にも達することがなく、参加人数は激減し続けている。去年現場を取材した際も、遺族が好きな時間に来るという形で、一般市民の姿はほとんどなく、従って、今年の式典は「密」にはならないことは容易に想像できる。

J.K.: 式典の中味はどんなものになるのでしょうか。

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津山:式典はグラウンド・ゼロにある追悼の噴水の淵にある犠牲者の名前が刻まれた石に、遺族が花を手向けにくる。しかし、18年続いてきた遺族によるおよそ3000人の犠牲者の名前を読み上げるイベントは、今年は録音した名前を会場で流す形式となる。グラウンドゼロには「国立9月11日記念館と博物館」があり、その資料から集めた犠牲者の名のオーディオを流す。名前を読む150人あまりの遺族やスタッフが、新型コロナウイルスに感染するリスクを排除するための措置。

J.K.:大統領選挙が佳境に入りつつある現在、再選をめざすトランプ大統領と民主党のバイデン候補との陣営では、どのような動きがあるのでしょうか。

津山:先ほどお話した死亡した消防士や救急隊を偲ぶNPOThe Stephen Siller Tunnel to Towers Foundationは、犠牲者の名前を録音で流すやり方にも反対していて、グラウンドゼロから少し離れたところで、別の式典を開いて、実際に犠牲者の名前を読み上げる。そこに、マイク・ペンス副大統領が参加することになった。式典を開催する時間も、公式の式典と同じ現地時間朝8時半からで、
内容も過去18年間、公式式典が行ってきたものと同じにする

J.K.:ということは2つの違ったイベントが同時進行で行われるんですね

津山:マイク・ペンス副大統領の参加は政治的な印象を与えるので、おそらく反対する市民のデモが起きるのではないかと思う。11月の大統領選挙を巡って、民主党バイデン陣営が、新型コロナウイルス感染を防ぐためになるべくオンラインでイベントを行っているのに対し、共和党、トランプ陣営は、イン・パーソン、「対面」を支援している。トランプ大統領の支持者は「新型コロナは、でっち上げだ」と初期にトランプ大統領が言っていたのを信じているため、「対面」でイベントをすると支持者が喜ぶこともある。

J.K.: 津山さん、ありがとうございました。また大統領選挙の動きについても教えて下さい。