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映画にトーキョーが写らない(朝日新聞)

近年の日本映画界は、「街」の背景が必要な場合、地方都市で撮影するのが、通例となっています。東京の街中での撮影が少ないのは製作費の問題ではなく、地域ごとに利権が複雑に入り組んでいて撮影の許可が取りにくいことがあります。

都心部で大々的な撮影が行われた作品は以前と比べても確実に減っています。 一方先月全米公開された「天気の子」をはじめとするアニメ作品では、「撮影困難な」東京を比較的に自由に描けるのが魅力かも知れません。石原慎太郎元都知事が、その在任時に東京での映画やドラマのロケ撮影を振興するためのフィルムコミッション「東京ロケーションボックス」を立ち上げたのは2001年のこと。組織自体は現在も存続していますが、機能していないことが推測される、と映画ジャーナリストの宇野維正さんが寄稿しています。

海外で広く認知されている数少ない「東京映画」の一つが、東京に滞在するハリウッド俳優の日々を描いた2003年のソフィア・コッポラ監督の「ロスト・イン・トランスレーション」でした。