去年の9月から続いているオーストラリアでの山火事は、全国的に大きな被害が出て、いまだにその勢いは衰えていません。

火事はオーストラリア南部を中心に、あちこちで群発的に起っていて、焼失面積は北海道の広さ以上と、過去例を見ない大きさです。

カンガルーやコアラの生息地にも火の手は及び、被害にあった野生動物は10億匹以上とも言われます。また住宅地に近いところにも火が迫ってきて、既に27名の死者が出ています。

今朝この時間ではオーストラリアでも被害の大きな、南東部にあるビクトリア州メルボルン在住の番組通信員、小林純子さんにお電話をつないでお話をお聞きします。

Q まずはお住まいのメルボルンでの山火事の現状はどうでしょうか

A メルボルンは豪州南東部に位置するビクトリア州の州都ですが、今回の大規模な山火事の影響で煙の被害が広がっています。

山火事は現在も継続しており、1月3日に1週間の期限で発表されたビクトリア州の非常事態宣言も、新たに2日間延長されるという発表が9日にありました。現在ビクトリア州内では23カ所で山火事が発生中。

少なくとも244家屋が被災し損壊、死者は3名。被災面積は120万ヘクタール、つまり日本でいうと四国全体の3分の2以上が焼け焦げたことになります。

Q テレビやラジオ等ではどのような報道がされているのですか

A 常に最新の山火事の現状を適宜報道しています。なお、ビクトリア州の厚生環境局からは州内の煤煙公害に対する注意喚起がサイトを通じて常時行われています。

https://www.epa.vic.gov.au/EPAAirWatch

ちなみに今日のメルボルン市内の警報レベルは5段階表示の真ん中のPoor。(Good, Moderate, Poor, Very Poor, Hazardous) PoorはPM2.5が62−97と規定されています。山火事情報についてはビクトリア州の危機管理局がサイトを通じて常時発信しています。 http://www.emergency.vic.gov.au/respond/

Q 社会生活で支障をきたしていることなどはありますか

A 現在、現地の学校は新学期を迎える前の夏休み中です。一方、日本人学校は日本と同様に3学期がスタートしているため、上述の煤煙公害注意喚起サイトを見ながらの対応を毎日行なっているようです。例えば、今日の予報(Poor)の場合は、体育や外遊びなど屋外での活動は中止し、窓やドアを極力しめて外気が入らないようにするなどの措置が取られます。

Q 今後の見通しについてはどのように報じられていますか

A 今日は気温上昇(メルボルン市内の予報は34度)と強風が見込まれていることから、最も近いところではメルボルン北東部約300km辺りで複数の山火事が発生すると予測されています。

当該の住民には避難指示が発出されています。一方メルボルン市内では今月20日からテニスの全豪オープンが開幕します。急遽大会前の15日に昨年女子シングルス優勝の大坂なおみ選手らも参加して山火事被害者に対するファンド・レイジング・イベントが全豪オープンのメインスタジアムで開催されます。

州全体が経済的にも大打撃を受けている中、山火事被害を受けているオーストラリア国民への温かい支援が最も必要とされている時です。豪州人は11年前に東日本大震災が発生した直後にどこの国よりもいち早く手を差し伸べてくれました。現在、当地に進出している日本の企業や日本関連団体及び日系コミュニティも支援・協力を始めました。今後は日本からも温かい支援が届くことを期待しています。