今週はITジャーナリストの三上洋さんに先週から世界を駆け巡った新しい生成AIの「ディープシーク」について解説していただきます。

J.K. 中国発の生成AI「ディープシーク」が毎日強烈な話題を巻き起しています。

三上: まさに「ディープシーク・ショック」となったわけですが、これはAI開発には巨額の投資は不要で、 データセンター等への設備投資も減るという憶測が一時的に広がったためです。当初ディープシークは他社のような「AIチップを大量に使っていない」と報道されましたが、その後の報道・ディープシークからの声明で異なることわかっています。大量のAI半導体を他社と同様に導入しており、ハードウェアでのコストは下がっていません。ただソフトウェア・学習方法が優れていました。

J.K. ディープシークが出た影響で、AI関連株が暴落。特にAI用チップの市場を独占してきたNVIDIAも一気に株価を下げましたね。

三上: 「強化学習」といって、AI同士で学習させることで賢くなるという方法をグレードアップさせました。そのため他社のように既存の書籍やネット上のデータを学習させなくてもいいので、学習コストが大幅に低いとされています。ただしAI同士の学習では、ディープシークはChatGPTとの会話で強化学習したのではと推測されており、道義的に問題はないのかと指摘されています 。

J.K. ChatGPTなど従来のAIと学習方法にどんな違いがあるんですか?

三上: 「強化学習」といって、AI同士で学習させることで賢くなるという方法をグレードアップさせました。そのため他社のように既存の書籍やネット上のデータを学習させなくてもいいので、学習コストが大幅に低いとされています。ただしAI同士の学習では、ディープシークはChatGPTとの会話で強化学習したのではと推測されており、道義的に問題はないのかと指摘されています。

J.K. 情報漏洩の不安、ノウハウの盗用なども問題になっているとか 。

三上: 中国のサービスである以上、中国政府に情報収集される恐れがある、特定のキーワードをはじくなどの思想統制があることは覚悟しなくてなりません。そのためディープシークの使用を制限する企業・国が出てきています。日本でも個人情報保護委員会は注意を呼びかけています。

J.K.: 今後米中の対立、日本の立場はどのようになっていくでしょうか。

三上: アメリカは中国に対してAI半導体などの輸出規制を行っています。日本はこれの抜け穴にならないように、政府と経産省が半導体の輸出の扱いを慎重に見守る必要があるでしょう。