第一生命経済研究所の藤代宏一さんに、日銀の利上げが家計に与える影響について伺います。

藤代:今朝は日銀の利上げが家計に与える影響についてです

J.K. 政策金利の引き上げが話題になっていますね?

藤代: 昨年の今ごろは未だマイナス金利でした。去年の3月、7月に利上げを実施して、この1月は0.25%から0.5%まで引き上げました。非常に低いながらも2008年来の水準です。個人的には、向こう1年で更に0.5%分上がって政策金利は1%。状況によりますが、そのまま日本経済が大崩れしなければ来年末頃に1.5%まで高まる可能性があるとみています。

J.K. 金利があがっていく場合、家計にどんな影響がありますか?

藤代: 払う金利ももらう金利も増えます。最も身近な普通預金の金利がどれくらい増えるかというと、大手行の場合、政策金利に対して4割程度です。実際、大手行は今回の0.25%分の利上げを受け、預金金利を0.1%上げました。総務省の統計によると、高齢者世帯では、負債が少なく資産が多いので、金利の受け取り額が増えることは良い話だと思います。他方、悩ましいのは50歳以下の世帯。平均的には資産よりも負債が多いので、それが変動型住宅ローン契約だった場合、マイナスの影響があります。

J.K. 住宅ローンを抱えている方は心配ですよね?

藤代: 預金の金利は0.25%の利上げに対して0.1%の上昇ですが、変動型ローン金利は0.25%がそのまま上乗せされますので、負担増に直結します。ここで慌ててはいけません。繰り上げ返済も手段の一つですが、そもそも日銀がなぜ利上げを実施したのか考えると、それはインフレです。ではインフレから資産を守るにはどうしたらよいか?選択肢として、インフレに強い株式を保有することが考えられます。もちろん、返済元本の額にもよりますが、株式の値上がり益で金利の負担を相殺するという考え方もあります。また将来的に金利が再び低下することもありますので、色々な選択肢を検討する必要があると思います。20年近く利上げがなかった日本では、金利との付き合い方を知っている人が少ないので、冷静な行動が必要だと思います。