ここからは第一生命経済研究所の藤代宏一さんに解説していただきます

藤代:今朝は最近の株価乱高下についてお話します。

J.K.: 8月5日の歴史的な下落に驚いた人も多いと思います。

藤代: 日経平均株価は7月11日に4万2千円と史上最高値を更新した後、アメリカ経済の不安をきっかけに下落基調に転じて4万円を割ると、8月5日には大暴落。1日で12.4%も下げて一気に3万2千円を割りました。一日の下落率は歴代2位。日経平均株価が一日で10%を超えるのは、極めて珍しく1980年以降で4回しかないので、私もかなり驚きました。

J.K.: 今年から新NISAで投資を始めた人も多いと思います。

藤代: 投資の理論を学ぶというのが、最も大切なことですが、現実には経済・金融だけではなく財務、会計の知識も必要になってくるので、それなりに難しさがあります。ただ、過去のデータ(株価)をみるというのは、インターネットで比較的簡単にできるので、個人的にはお勧めです。基本は、現在と似た過去の事例を探すことです。今回の暴落と類似のケースでは1987年のブラックマンデーと呼ばれる、1日に株価15%も下げた大暴落の日です。

J.K.: 過去から教訓を得る、その時はどんな様子でしたか?

藤代: 当時大暴落の翌日以降、今回と同様に大幅反発となりました。ただ、発生から2週間後にその上昇を全て失って再び安値を更新。またそこから反発するものの、1か月半後にまた安値に近づきました。こうした過去問から判断すると、日経平均株価がまた8月5日の水準に近づくことも想定しておくべきです。「歴史は繰り返さないが、韻を踏む」というプロの投資家が好んで使う諺があります。株価は、過去と全く同じような動きをすることはなくても、似た展開となることは本当に多いので、投資の勉強をしたい方は是非、チャートを眺めることをお勧めしたいと思います。