ITジャーナリストの三上洋さんに、「生成型AIサービス」について解説していただきます。

J.K. もうChatGPTはすっかり定着したといえるでしょうね

三上: 一般ユーザーだけでなく、企業から官公庁まで幅広く利用が進んでいます。「生成型AIサービス」はChatGPTだけでなく、ライバルのGoogle「Gemini」、実用ソフトでのAI導入を進めるマイクロソフト「Copilot」などの大手IT企業がシェアを争っています。それに刺激され、ChatGPTもアップデートが進む、という状況になってきました。

J.K. 技術革新もあって、注目されているのはどのサービスでしょうか

三上: ChatGPTを超える生成AIとして「Claude3(クロード)」の性能が良いと評判になっています。日本語の受け答えがしっかりしており、こちらが要求する以上の答えをかなり正確に出してくるので、生成AIに詳しい専門家が絶賛しているのです。Claude3は、アメリカのAI企業・Anthropic(アンソロピック)が開発しているもの。このAnthropicはChatGPTのOpenAI社に、不満を持って離脱した開発者が作った企業。いわばOpenAI社のライバルです。

J.K. ChatGPTといえば、イーロンマスクの存在を忘れてはいけないですよね

三上: イーロン・マスクも元々はOpenAIの設立に参加していましたが、仲たがいから離れて、自分が設立した企業で生成AIの開発を進めています。そのイーロン・マスクが3月11日に発表したのが「Grok-1(グロックワン)」という生成AIです。このGrok-1の特徴は、オープンソースであること。プログラムの元となるソースコードをすべて公開しており企業などが自由に開発に利用できるようになっています。今後は幅広く企業などが利用する可能性があります。

J.K. 競合によって将来的は「生成型AIサービス」はどうなりそうですか。   

三上: 生成型AIは文字だけでなく画像や音声・動画などの生成と分析ができるマルチモーダル化が進んでいます。マルチモーダル生成AIは開発や運用にコストがかかるため、OpenAI、マイクロソフト、Googleなどの大手IT企業がリードしています。しかしClaude3やイーロン・マスクのGrok-1など新しい生成AIが登場しており、今は性能面やオープンソースで大きな注目を集めています。正直なところ、毎日のように生成AIの新サービスが登場している状態で、どれが勝つのか普及するのかは、混とんとしており先行きは見通せない状態です。私たちユーザーとしては、とりあえずは、動向を見守ることになりそうで、次のiPhoneでは複数のアプリが入るかも知れません。