今週はITジャーナリストの三上洋さんに、開発中の「新しいリチウム電池」について解説していただきます。

三上: おはようございます

J.K. EV普及などで話題の「リチウム電池」進化しているのですか

三上: EV電気自動車、ドローン、など次の時代を作る乗り物では「電池」が最も重要なポイントです。そのため自動車メーカーを始め、世界中のメーカー・研究所が次世代の電池の開発を競っている状況です。現在使われている「リチウムイオン電池」は素材や電解液などを工夫してはいますが、容量で比較すると現状の1.5倍から2倍というのが限界です。

J.K. なかなか技術の進化が追いつかない分野なのですね

三上: その中で「リチウム空気電池」という技術がアメリカの研究所で開発され、従来の4倍以上の容量を見込めて、耐久性についても1000回の充電と放電で88%の容量水準をクリアする、という次世代の電池の中でも最大のパワーを蓄えられるようです。計算ではEVならば1回の充電で1000マイル(1600キロメートル)の航続距離が可能なレベルとなります。

J.K. 1回の充電で1600キロはかなり魅力的ですね。

三上: もちろん乗用車もそれだけの距離を走ることができれば十分ですが、長距離トラックなどの大型車両や飛行機、そして大型の蓄電池という、いままでとは異なる、新しい需要に対応できる、とされています...。充電できる電池には、「軽くて小さくする」「繰り返し充電して使える」「安全性」という3つの要素が必要です。リチウム空気電池は、電極の空気の中に空気を使うことで大幅に軽量化・小型化ができます。今後は1000回充電できるなどの耐久性と安全性を高める技術開発が必要で、日本では東レや東北大学などが取り組んでいます。ただまだ素材や安全性が研究段階で、すぐの実用化は難しそうです。

J.K. 実用化が待ち遠しいですが、いつぐらいの実用化になりそうですか。   

三上: 2030年代前半の実用化という見込みですが、新しい技術開発が進みより進化した形のものが出てくる可能性もあります。