日経BP総合研究所客員研究員の品田英雄さんに、来月2月1日にオープンする施設「豊洲 千客万来」について解説していただきます。

J.K. 築地市場から豊洲市場の移転ではかなり紆余曲折がありました

品田: もともと卸売市場の移転の計画段階から、土壌汚染対策と移転反対運動などで何度も延期されました。それなので2018年に豊洲が正式にオープンした段階でも隣接する観光客向け施設については計画が二転三転することに...。当初の「大和ハウス」と「すしざんまい」が辞退、東京都がそもそもの計画を見直して、にぎわいを作るための施設建設を推進しました。そこにコロナ禍が重なったことが、認知度が上がらなかった要因と考えられます。

J.K. オープンする「豊洲 千客万来」はどんな施設になるのでしょうか

品田: 全国に総合温浴施設を展開する万葉倶楽部が運営。豊洲市場の新鮮食材が購入できる「豊洲場外 江戸前市場」では、食べ歩きをテーマにした「目利き横丁」や半屋外型の「豊洲目抜き大通り」などで、江戸の街並みが再現されています。「うなぎ」「寿司」「天ぷら」「蕎麦」という江戸の「食」がすぐ近くの卸売市場で手に入り、それを新鮮なまま調理するというのが魅力です。また温泉と宿泊施設を併設した「東京豊洲 万葉倶楽部」は24時間営業で東京湾を一望できる露天風呂や岩盤浴などがあります。こちらは「万葉倶楽部」の中でも値段が高めの設定で、インバウンドを狙って勝負するとのことです。

J.K. 一方まだ残っている築地場外はインバウンドで混雑していますよね

品田: もともと日本人にもなじみがあるにぎわいがある場所でもあり、銀座にも近いロケーションのよさで、歩道からはみ出すぐらいの人気です。そして都内の銭湯も入湯料520円で静かなブームだといいます。江戸時代の街並みというコンセプトや、テーマパーク的な楽しみがどれくらい受け入れられるのかがポイントとなりそうです。