今週はITジャーナリストの三上洋さんに、アメリカで行われた家電の見本市「CES」について解説していただきます。

J.K.: 毎年行われる「CES」。既に家電の枠を超えていると思われますが...

三上: 従来の「テレビ受像機」の概念を超えたディスプレイの進化が著しいです。サムスンとLGは透明ディスプレイを発表。映像が映っていない部分は向こう側が透けて見えるもので、インパクトがあって注目を集めました。また折り畳める大型テレビも登場し、オーストラリアのメーカーが出した製品は電動で折り畳める上に、最後は後部に倒れてコンパクトになるもの。 ただしもっとも安いものでは1600万円にもなる予定です。(折りたためる大型ディスプレイの例など)

J.K.: 「AI」技術が進化していることでの今年の特徴はどうなのでしょうか。

三上: ChatGPTを利用したシステムがやはり存在感を増しています。AI専用の箱型デバイスrabbit r1。3万円程度で、従来のOSではなく専用OSでAI経由でアプリなどを使うシステム。AI時代のiPhoneになることが期待されています。いろいろなハードウェアにChatGPTを組み込もうとする製品がほかにも多く並んでいました。またフォルクスワーゲンやメルセデスベンツもAIを車に導入したモデルを出していました。

J.K.: 日本のメーカーの奮闘はいかがでしょうか

三上:ホンダが新しいEVカー「0(ゼロ)」を発表。2026年から導入予定で、思い切ったデザインの2車種を展示していました。ソニーはそのホンダとの合弁会社で昨年からEVブランドを開発しており、今年は最新モデルを展示していました。ただ日本メーカーはどちらかというと新しいコンセプトの製品はそれほど多くなく、地味な印象でメディアの報道も多くありませんでした。

J.K.: 今後すぐに導入されて世の中が変わりそうなものはありますか。

三上: AIを活用したスマートホーム向けロボットでしょうか。韓国のLGかわいい小さなロボットで、スマートホームのハブとして使うもの。家の中を見回ってつきっぱなしの照明を消す、という動作も行うようです。家庭のスマート化をかわいさで普及させるきっかになるかもしれません。