経済評論家の加谷珪一さんに、「都心のフードデザート」という話題について解説していただきます。回線が繋がっています。おはようございます。

J.K. 「フードデザート」(食の砂漠)とは、どんな問題なのでしょうか。

加谷: 肉や魚、野菜など生鮮食料品が入手困難な場所、ということです。しかし生活環境が悪化して、健康的な食生活を維持できないこともあるほどという状態で、欧米では40年以上前から問題になっていました。日本では地方山間部などアクセスが悪い場所や、シャッター商店街など、住民の高齢化によって起きていましたが、近年東京都心部にも広がっています。

J.K. アクセスがいいはずなのにどうしてそういうことになるのでしょうか。

加谷: 都心部では大型開発で移り住む富裕層が増加する一方、昔からの住民が高齢化している場合があります。いわゆる高級住宅地とされている場所で高級スーパーが新しく出店する一方、従来の小さな店などが撤退したりして、遠くに買い出しに行かなければならない、という現象が起きています。

J.K. 「買い物難民」というだけではなく、健康のリスクもあるんですね。

加谷: 都心の高級スーパーは野菜の値段が個人商店の小売価格が5割以上高い、という調査もあり、家族や地域とのつながりが希薄な住民「低栄養素リスク」が高まる度合いが高くなります。小売店などへのアクセスが単に悪いという状況に加えて、生鮮食料品の価格が高いので買い控える、という問題が複雑に絡んでいます。

J.K. 解決にはどのようなことが必要なのでしょうか。

加谷: 特に都心の高齢者は分散している場合が多いので、移動販売や買い出しのアクセス補助という、地方のような対策を打ち出すのが難しいという点もあります。まずは実態を把握するために支援すべき地区を可視化する、ということが必要とされます。