ITジャーナリストの三上洋さんに、 X(旧Twitter)の「リプライゾンビ」について解説していただきます。

J.K. 気味の悪いネーミングですが「リプライゾンビ」、どういうものなのですか。

三上: 「リプライゾンビ」「インプレゾンビ」とも言われていますが、バズった投稿に無関係なリプライを繰り返すbot(ロボット投稿)の存在です。フォロワー数の多いニュースなどアカウントの投稿などによく出没します。投稿には関係がないコメント内容だったり、絵文字だけだったり、また投稿と言語が違うというのが特徴で、実体がなさそうでいて、青いチェックマーク付きの有料アカウントです。

J.K. そんなことをしてもメリットがないと思うのですが。

三上:元の投稿者や一般Xユーザーにとって、邪魔以外の何ものでもないです。メリットがないように見えますが、目的はズバリ「お金」です。Xから広告収益を得られる「Creator Ads Revenue Sharing program」に登録し、そのシステムでバズった、ツイートに機械的にリプライすることで、金銭を得ようとしているわけです。

J.K. プログラムには誰もが登録できるのですか

三上: フォロワーが500人以上、過去3カ月の投稿に対するインプレッションつまり閲覧回数が500万件以上、有料サービス「X Premium」を利用中、というのがプログラム登録の条件です。ニュースサイト・アカウントのリプライ上位に表示されるのは、500万件以上の閲覧回数を稼ぐためです。   

J.K. 今後についてはどうなるのでしょうか。

三上: 大手ニュースサイトの公式アカウントが「リプライゾンビ」で埋まると,そもそものリプライ欄の存在意義が揺るがされてしまいます。このXの広告収益プログラムは始まった当初から、有害なbotを増やすリスクが指摘されてきました。そして広告主が離れていき、収益に苦しんでいるXは有料化が切り札ですが、ゾンビは自動プログラムなので対応には限界があります。

J.K. 世界で最も利用者が多いのが日本ですものね。

三上: まさにX運営側の対処が早急に必要です