日経BP総合研究所客員研究員の品田英雄さんに、コンサート会場の新しい形について解説して頂きます。

J.K. 先月「Kアリーナ横浜」がオープン、音の良さが評判です

品田: 従来のコンサート会場といえば、県民会館や市民会館のような多目的利用がベースで、音響についてはクラシック音楽を基準に設計されてきた。「音の良さのモノサシ」が大音響に合わせたものとはいえなかったが、新設されているハコについてはデフォルトでライヴ目的にしている。音楽業界に精通した「民間」が運営も含めて参入していることが大きい。 特に横浜ではここのところ大型音楽ホールが続々とオープンし、周辺にはホテルやマンションなどもできて、にぎわいをもたらしている。Kアリーナは高級賃貸などを展開するケンコーポーレーションが運営(すぐ隣にはぴあアリーナMMもあるので、終わる時間を調整しようという動きも出ている。いずれにしろ人の流れが大きく変わっています)

J.K. 従来施設の老朽化、そして再開発などということもあるんでしょうか 。

品田: 新宿の「Zepp歌舞伎町」に見るような、ホールそのものの音響だけでなく、ライヴが終わった後にも至近距離で飲食が楽しめることがポイント。繁華街から離れたホールだと、ライヴの余韻にひたれない。

J.K. プロスポーツのアリーナも続々と建設予定ですが収益の見込みは。

品田: 自前の専用スタジアム・アリーナを持つには、巨額の建設費や運営費が必要となる一方、使用料の支払いが不要、広告やスタジアム内販売での制約がない、自治体など所有者との調整が不要、といったメリットもある。(その代表が日本ハムの北海道ボールパークFビレッジ)。首都圏では、来年春にはプロバスケットボール男子Bリーグの「千葉ジェッツふなばし」が1万人収容の「ららアリーナ東京ベイ(仮称)」に移転するが、チームを持つ大手IT企業のミクシィと、隣接の「ららぽーとTOKYO-BAY」を展開している三井不動産が共同で建設し、合弁で運営。Bリーグはもともと大音響を想定しているため、ライヴだけでなく、新しいスポーツやイベントでも期待できそう。あと運営として新しいのは有明アリーナ。

東京オリンピックパラリンピックに合わせて作られた会場の多くが、その後の使い方が問題になっていますが(多くは年間で赤字になりそうなので)、有明アリーナはアリーナとしては国内で初めて「コンセンション方式~民間企業に運営を委託する(25年)」。参加企業にアミューズやライブネーションジャパンが入っていて、スポーツもやればコンサートもできるようにしている(スティングもやれば、KPOPもやる)。設計の段階で、機材の搬入をしやすいように工夫もしている。