経済評論家の加谷珪一さんに、「大阪IR契約締結」について解説していただきます。

J.K. 大阪万博に引き続き、日本初のカジノが誕生するようですね。

加谷: 大阪府はカジノを運営する事業者と実施協定を締結し、いよいよ本格的にカジノ誕生に向けた実務がスタートすることになりました。2年後の2025年には、大阪・関西万博の会場である夢洲で工事が始まります。開業は2030年秋ごろの見込みです。

J.K. さしせまった万博もかなり作業が遅れていますが、同じ場所ですよね。

加谷: そうなんですよね。大阪万博では、目玉となるパビリオンの建設が一向に進まないといった問題が発生しています。これは物価高騰や人手不足が原因ですから、一過性のものではありません。仮に万博の建設がうまくいっても、今度はカジノの建設で似たような問題が発生する可能性は十分にあります

J.K. 今回の「大阪IR」に限ると、日本発のカジノに注目が集まります。

加谷: IR(統合型リゾート)はカジノだけではなく、国際会議場や展示場(MICE)、ホテル、などで構成される施設です。とはいえやはりカジノが目玉になりますから、インバウンドを含めてどれだけの集客力を確保できるのか、指摘されるデメリットをはるかに上回る効果を得られるのかといったあたりが注目されます。

J.K. 日本人のカジノ利用を含めたトータルの運営はどうなのでしょう。      

加谷: 来場者の予想は年間2000万人とされており、このうち国内は1400万人、海外からは600万人です。海外からの顧客はやはり中国からということになると思いますが、中国の景気悪化という当初想定していなかった問題も発生しています。予定通りの集客ができるのか現時点では不透明です。