J.K.: イーロン・マスク氏の発言に振り回されますが、いよいよ「有料化」ですか。
三上: 先月半ばにイスラエルのネタニヤフ首相との対談の中で、「X(旧Twitter)」のすべての利用者から 、少額の月額料金を徴収する完全有料化を検討していることを明らかにしました。しかしこれは単に「ボット」と呼ばれる、有害投稿、サーバー負担への対策として、というだけではなく、今後の「スーパー・アプリ」への準備段階だとされています。
J.K.: 様々な事が出来る「スーパーアプリ」とは、具体的にはどんなものですか。
三上: 従来のSNSとメッセージだけでなく、音声画像通信、決済、電子商取引、フードデリバリー、オンライン輸送、金融サービスなど多彩な機能を持つというのが「スーパーアプリ」です。その一つとして9月29日から、ユーザーの生体情報や学歴、職歴などを収集することになりました。これは買収した「Laskie」という会社を通じて、人材紹介サービスを提供するのでは、と言われています。
J.K.: 何でも出来るアプリでいて、使いこなせるかどうかの心配もありますね。
三上: 中国の「スーパーアプリ」の「WeChat」では、こうした機能は既に実現されています。そのユーザーは「X(旧Twitter)」の倍,月間10億人以上が利用していて、今後のアプリについては多機能でなければならない、という信念のようなものがあるのではないでしょうか。
J.K.: 日本ではSNSのツールとしての印象がありますが、今後はどうなりますか。
三上: 確かにスーパーアプリでビジネスに繋げたいというイーロンマスクの野望は理解できるのですが、日本では難しいかもしれません。というのは日本ではXを匿名で複数アカウントを使っているユーザーが多く、そこで決済をする、電話番号を登録するというのは抵抗感があるからです。Xは日本ユーザーが多いので、この日本での利用実態をイーロンマスクがどこまで理解してビジネスに繋げるか、今後に期待したいと思います。