商品ジャーナリストの北村森さんに生活経済の観点から解説していただきます。今朝は「10月からのふるさと納税」についてお話をお伺いします。

J.K. すっかり人気が定着した「ふるさと納税」のルールが変わるようですね。

北村: 返礼品がもらえる、というショッピング感覚が人気の「ふるさと納税」ですが各自治体の施策には、玉虫色の部分をしたたかに捉えて、返礼品の魅力を高めようとしてきました。返礼品自体の競争がかなり過激になってきていて、自分が住んでいない地域に関心を持ってもらうという本来の目的からずれているという意見もあります。そこで10月からは多く寄付先に影響が及ぶとされる「5割ルール」の厳格化による「実質の値上げ」です。

J.K. 「5割ルール」とはどんなものでしょうか。

北村: 「ふるさと納税」を管理する総務省が、今までの返礼品そのものだけでなく今まであいまいだった「返礼品や関係書類の送料」「PR経費」「仲介サイトの手数料」も含めた経費を寄付額で割った割合が5割を超えると、10月からは「ふるさと納税」の制度から除外されることになりました。

J.K. 実際にどれくらいの自治体で影響がありそうなのですか。

北村: 総務省によると、2022年度で経費率が50%を超えたのが109の自治体。49%~50%というギリギリなのが329の自治体です。特にクール便を使う生鮮食料品などでは経費がかさみます。来週からは返礼品の内容量や寄付額の見直しが行われることになります。

J.K. 今後の「ふるさと納税」はどういった形が有効とお考えでしょうか

北村: 私は店舗型ふるさと納税を取り入れる自治体がもっと増えるのがいいと考えています。これは消費者が現地まで足を運んで、地域の特産品を買い、その代金をその場でふるさと納税によって手続きする。地域のファンを作り、消費者が地域を理解するという、本来の趣旨にも沿うのではと思います。

J.K. 商品ジャーナリストの北村森さんでした。