商品ジャーナリストの北村森さんに、生活経済の観点から解説していただきます。今朝は「じわじわ続くおにぎりブーム」についてお話をお伺いします。
J.K.: やはり「おにぎり」といえばコンビニでの展開が。
北村: 「コメ離れ」が叫ばれて長いのですが、「おにぎり」は再び注目されています。コロナ禍が一段落し、人の移動に制約がなくなりつつある今、コンビニのおにぎりの販売額は大幅復調。例えばローソンでは、今年に入って前年比およそ2割増で推移しているといいます。総務省の家計調査では2人以上世帯の「おにぎり」への支出額は昨年5172円と過去最多となりました。
J.K.: コンビニ以外でも街で「おにぎり」の専門店を見かけるようになりましたね。
北村: 専門店の特徴は「お米や具材などの食材へのこだわり」「具材の多さ」で、高価格帯でも納得感がある高級品が従来の100円台の商品との差別化がすすんでいます。「ひとまわり大きなサイズ」もポイントで、テイクアウトの需要に応える納得感があります。逆にこうした流れがコンビニ各社にも波及、300円近い「高級おにぎり」のラインナップが出はじめました。
J.K.: 専門店が増えた背景にはどういう理由があるのでしょうか
北村: テイクアウトのみであれば、省スペースでオペレーションが簡単という事と、お米は「国産」なので比較的価格が安定しているので参入ハードルは低い。居酒屋チェーンの「礒丸水産」を運営する企業が7月に出店したのをはじめ、行列ができる個人店とのコラボで、異業種の「スニーカーショップ(アトモス)」もスタート。
J.K.: 今後の展開ですが、一大ブームがやってくるのでしょうか
北村: 参入しやすい、ということは突出した成功を収めることは難しいということ。口コミで評判を呼んでいるような個人店などとの棲み分けもまた課題となりそう。ただし、おにぎりは一定周期で新商品や新しい店が話題になる分野ではあるので、おにぎりを取り巻く業界全体の人気そのものはすぐ下火になるという話にはならないでしょうね。そこがほかの食品領域(スイーツなど)と違うところかもしれません。