J.K.: ChatGPTですっかりおなじみになった「生成AI」、話題ですね?
三上: ChatGPTは「対話型」と呼ばれて話題になりましたが、文章だけでなくグラフィック、写真、音楽、動画などなど、あらゆる分野において進化し、オリジナルを超えた合成が簡単にできるようになりました。ただ技術が進んだことで、真偽の見分けがつかないもの出てきて、悪用される危険性も出てきたことも同時に問題となっています。
J.K.: G7サミットの首脳宣言にも盛り込まれましたね。
三上: 著作権の保護や偽情報への対応などについて閣僚級で議論する「広島AIプロセス」を開始することが盛り込まれました。まさに今、世界的に期待だけではなく不安も広がる中での話し合いだといえます。ただ具体的な取り組み策はまだ見えておらず、またEU・アメリカ・日本それぞれでAIに対する温度差もあるため、ルール作りができるかどうか危ぶまれています。
J.K.: ただこれだけのスピードで成長するとルール作りは困難では...。
三上: 実際にその話しあいの間にも、アメリカ国防総省の近くで爆発が起きたという偽の画像がネット上で拡散し、株価が一時下落する騒ぎになりました。また日本ではクリエーターによる有料販売サイトでの画像生成AIによるCG販売が問題になっています。有名作家が作った画像を読み込み、同じタッチ・画風で別の画像を作って売ってしまう事態です。販売サイト側で規制が始まっていますが、AI生成自体を止めることはできないので、今後さらに大きな問題になりそうです。
J.K.: 今後の展開についてはどうなるのでしょうか。
三上: 国際ルール作りでは著作権保護や偽情報対策など抽象的なルールになる見込みです。具体的な法律は各国に委ねられることになりますが、少なくとも著作権法の改正は必要かと思います。現時点の著作権法では、生成型AIの学習で権利を侵害しませんが、出力では侵害になります。しかし学習自体にも規制をかけないと、出力したものに著作権侵害コンテンツがあった場合に対処できませんから、何らかの改正は必要になるでしょう。