今週は経済評論家の加谷珪一さんに、発足したばかりの「子ども家庭庁」について解説していただきます。
J.K.: 子ども家庭庁はどういう組織なのでしょうか
加谷: 子ども家庭庁は、子供や家庭に関する業務を担当する役所で、厚生労働省や文部科学省などの関係省庁から関連部署を移管して作られました。職員はおよそ430人の体制で、具体的には少子化対策、保育所に関する業務、児童手当に関する業務、いじめや虐待防止、子供の貧困対策など幅広い仕事を担当します。
J.K.:わざわざこうした組織を作ったのはどのような理由からでしょうか?
加谷:これまで子供に関する業務は、各省ごとにバラバラに行われていました。少子化や児童虐待などの問題は複数の省庁にまたがる課題ですが、一元化された組織を作ることで、なかなか物事が進まないといった、縦割りの弊害を打破することが期待されています。
J.K.:「予算倍増」が打ち出されましたが、やるべき仕事が多すぎる気もします。
加谷: 確かにやるべき業務はたくさんありますが、そうであるからこそ、新しい組織を作ったと考えた方がよいでしょう。岸田政権は、少子化支援や子育て対策など子供に関する政策を再需要課題として位置付けています。子ども家庭庁はその司令塔となる組織です。
J.K.: 具体的な財源などについて、わからない部分だらけです。
加谷:子育て支援については、予算倍増というところまで打ち出されていますが、具体的に何にいくら使うのか、財源はどうするのかという具体的な数字はまだ見えていません。一部からは社会保険の保険料を増額するという議論も出ていますが、反対の声もあり調整は進んでいない状況です。
J.K.: 今後の展開についてはどうなるのでしょうか。
加谷: まずは何をするのかが決まらなければ予算の数字も出せませんから、この部分がもっとも重要です。6月までに「大枠」が示される見込みなので、具体的な議論はそこからになります。実際に政策が動き出すのは来年以降ということになりそうです。