航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さんに、「ホテル業界の今後」というトピックについて解説していただきます。
J.K.: ホテル業界の景気を表す指標という意味では稼働率があげられますね
鳥海: 客室の何パーセントに宿泊者がいるのか、というのが稼働率です。コロナ前は80%程度の数字が、10%台に落ち込んだ時期もありました。去年10月以降は「全国旅行支援」が始まり、水際対策が緩和されたことで回復基調にあるのですが、1月2月は少し足踏み状態でした。とはいえ中国が「ゼロコロナ」政策を事実上終了し、4月以降渡航が増える可能性が高まってます。 今月1日から、コロナ前には日本のインバウンドの3割を占めた中国からの渡航も本格的に再開させました。以前のようなが戻るという期待が日本の旅行関係者にあがっています。
J.K.: コロナ禍のダメージ回復はまだまだというところでしょうか
鳥海: 国内旅行者、特に地方から東京への旅行者や出張者が増えています。更にインバウンドの回復もあり、稼働率が一気に上がり、強気の価格設定になっているホテルも多いです。最近は物価上昇や円安もありますが、それでも海外から見たら日本は割安です。平均客室単価は上昇傾向にあり、日本人の宿泊も増えていることから、売上を伸ばしています。しかしながら、客室清掃をはじめ人手不足により、全ての部屋を売ることができていないホテルや旅館が続出しています。
J.K.: 2020年の「Go To Travel」では高級な宿泊施設に集中する傾向がありましたね
鳥海: 今回は割引率でお得感がある高い料金にこの際泊まろうというよりも、一律定額割引なので、宿泊施設そのものの魅力など実質的な選別をするようになった、といえます。したがって稼働率についても実力差が出てきました。
J.K.: きのうは日本航空の国内線タイムセールがアクセス集中のため中止になるなど春以降の旅行への意欲はかなり旺盛ですね。今後についてはどのようになっていくのでしょうか
鳥海: インバウンドの拡大に向け、再び外資系を中心に新しいホテルのオープンやリノベーションが相次ぐなど、アフターコロナへ向けた回復基調に入ってきていると思います。未来は明るいです。