今週はITジャーナリストの三上洋さんに、「PHSのサービス終了とその後」というトピックについて解説していただきます。

J.K. ピッチとも呼ばれたPHSは一時期、脚光を浴びましたね。

三上: 1990年代に一大ブームとなった移動型通信機のPHS(Personal handy phone system)」ですが、スマホを含む携帯電話が台頭。ここ20年ですっかり影が薄くなりました。安価なスマホという位置づけの一般向け「公衆PHS」ではワイモバイルが最後まで販売していたものの、2021年に既に終了。残っていたビジネス向けPHSも今月末で終了してしまいます。

J.K. 病院などで看護士さんが持っているのは見ましたね。

三上: こちらは「構内PHS」という形で、病院では携帯電話の電波が医療機器に影響が危惧されるため特に重宝されてきました。それ以外も工場など限定された場所で、特定のスタッフ間でのコミュニケーションにPHSが使われました。これらの「構内PHS」は「公衆PHS」のように、一般の回線を使わないため、対応機種は免許不要で料金も無料。今後も使用可能です。ちょうど家庭にある固定電話の子機同士の通話という感覚ですね。

J.K. サービス終了で使っていた周波数帯は事実上空くわけですよね。

三上: PHSが使っていた1.8GHz帯という周波数は、前後を携帯電話が使うなど、とても使いやすい周波数帯なんです。そのためデジタルコードレスホン、来客をモニターで確認できるドアホン、子供やペットの見守りモニターなどに使われます。また企業ではオフィスや工場内で動画などのやり取りができる高速回線として利用できます。携帯電話会社との契約無しで利用できるため、病院やトンネル工事などで低コスト回線として利用される見込みです。PHSというサービスは事実上なくなりますが、その周波数はPHSによく似た「免許なし・低価格で使える通信回線」として活用されるのです。。