ここからは商品ジャーナリストの北村森さんに、生活経済の観点から解説していただきます。

今朝は「新しいカレーのブーム」についてお話をお伺いします。イギリスにも歴史的なバックグラウンドもあって、あちこちにインド料理店がありますが、日本人のカレーはまた別物ですね...。

ハリー 「新しいカレーのブーム」とはいったいどんなものなのでしょうか?

北村: 「スパイスカレー」というもので、いわゆるカレールーを使って具材を煮込むというのではなく、複数の香辛料を組み合わせて調理して作る方法です。もともと「スパイスカレー」は大阪が発祥といわれていて、コロナ前からじわじわと全国に出店が相次いで評判になっていました。とはいえ全国チェーン店はなく、首都圏での認知度はまだまだ低いかも。

ハリー:「日本独自のカレーブーム」は世界でも珍しい移り変わりですよね。

北村: 「喫茶店のメニュー」ではなく「カレー専門店」が出はじめてから、「辛さを競う」という方向の時代もありましたが「スープカレー」「カレーうどん」「キーマカレー」などなどさまざまなバリエーションがブームとなりましたが、今回の「スパイスカレー」もそれがいえそう。

ハリー: なぜ今「スパイスカレー」なのでしょうか

北村: ルーを使って煮込むという工程が省けるので、仕込みの時間、設備などで簡単にスタートできる。スパイス(香辛料)は持ち運びが簡単で、開業資金が十分ない若い世代でも新規参入しやすい。こうした背景から拡がった。

ハリー:一過性のブームという危険性についてはどうなのでしょうか?

北村: 一口に「スパイスカレー」といっても、スパイスの配合、具材など、個性を出しやすいこともあり、多様性を競うことになり、同じ店舗でもメニューが豊富になるので、当面は飽きられるとはなさそう。これから本場インドのカレーへと進化する可能性もある。また一方で、こうしたブームに刺激を受けた消費者が、自宅でスパイスカレーをつくるケースも増えるかもしれない。「カレー鍋」のスープがスーパーマーケットなどで存在感を放っているように、食品メーカーがスパイスカレー用のキットを数多く登場させ、消費者がSNSなどで発信するようになると、この市場はまた面白い展開となるかも。