経済評論家の加谷珪一さんに、「相次ぐ大手IT企業の人員整理」という話題について解説して頂きます。

J.K. ここにきてのもろもろの発表はすさまじい勢いですね。

加谷:まずは、テスラCEOであるイーロンマスク氏に買収されたTwitterですが、早々におよそ7500人といわれる全従業員の半数へ一斉に解雇通知された。FacebookやInstagramとった巨大SNSを手掛けるメタは、11月9日に全社員の13%に相当する1.1万人を解雇すると発表。そしてAmazonでは今週の11月15日、数日前から報じられていた従業員の解雇に着手。大幅な人員削減が相次いで行われます。

J.K. 好調と伝えられたIT産業、大量解雇にびっくりしている方も多いのでは

加谷: 新型コロナウイルス禍で収益が増え、人員も増やしましたが、反動による収益悪化を受けて多くの事業を一気に縮小させる方針に転換しました。その背景には、来年の景気後退に対する警戒感への素早い対応があります。特にアメリカの企業は、日本企業と比較にならないくらい、解雇についてドライな対応が可能で、その対応をクローズアップされることで衝撃。

J.K. それにしても見直しは大胆といえそうですね。

加谷: Amazonでの従業員数はコロナ前が80万人で、今年9月には154万人。3年で倍になりました。倉庫も次々に開設しました。事業を拡大しようと、遠隔医療サービスや配送ロボット開発などにも力を入れてきました。しかし特にアメリカではIT産業は高年収で、重荷となっているといえそうです。

J.K. 今後の見通しについてはいかがでしょうか。また日本への影響は?    

加谷:大手をはじめIT産業がこのまま縮小していく、というのではなく、やはり成長産業であることは変わりません。景気予測の上で企業存続への判断としての措置です。日本には幸か不幸か世界的なIT企業ができなかったのでアメリカ直属の、ごく一部の日本在住の従業員以外に波及するとはあまり考えられませんが、来年の景気後退局面は気にしておきたいところです。