今週は商品ジャーナリストの北村森さんに、注目されている「睡眠テック」について解説していただきます。

J.K. 日本人は世界の中でも睡眠時間が短いといわれ「睡眠」について関心が高いようですが、「睡眠テック」を簡単に説明していただけますか?

北村: IT技術を用い睡眠を改善する商品やサービス、またその概念そのものが「睡眠テック」で、睡眠不足による心身へのダメージを「睡眠負債」と呼び、単なる寝不足だけではなく、集中力の低下、認知症やうつ病といった精神の病を引き起こす原因になるといわれています。

J.K. スマホアプリで睡眠の質を管理する話も聞きますよね。

北村: そこに目を付けた、テクノロジーを活用する睡眠改善サービスに着手する企業が増加。2020年に「睡眠テック」機器の世界市場は1.3兆円を超え、日本国内だけでも2022年の市場規模は20億円になると言われる。

J.K. 近年急激に伸びている理由はどうしてでしょうか。

北村: 多くの消費者にとって、睡眠は自分自身でコントロールできない部分が多いと悩んでいる。睡眠関連製品やアプリは、企業にとっては長年のテーマだがAIなど技術の進化によって急激に可視化できるようになった。

J.K. 今後の展開はどうなりそうでしょうか?

北村: 企業が社員の健康を考えるために導入などの試みも...。「会社が働く人の勤務時間外である、寝ている時間まで管理するのか」と訝しく感じる向きもあるかもしれないが、別の角度から考えると、睡眠の質と人間のあらゆる活動は、それほどまでに密接な関係で、かつ切実な問題という話とも言えそう。いずれにせよ、仕事もプライベートもいい方向に向けられるかもしれない。ここから先のポイントとしては、「見える化」した睡眠のデータをもとに、どうすればより良い睡眠にできるのか、適切なソリューションを導く手段をいかに提供できるか。それがより具体的で効果も高いと広く評価されれば、この市場はさらに伸びるだろう。