今週はITジャーナリストの三上洋さんに「ステルスマーケティング(ステマ)の法規制」というトピックについて解説していただきます。
J.K.: SNSやブログなどで問題になる「ステマ」はどういうものを指すのですか。
三上: 「ステマ」とは消費者に宣伝と気付かれないように宣伝行為をすること。広告だと明らかにせず、公平な口コミや専門家の意見を装って企業から対価を受け取り宣伝するほか、企業が第三者になりすまし、自社商品の口コミを書く例もあり、炎上するなど問題視されてきました。特にSNSでは、いわゆるインフルエンサーが商品を広告だと明記せずに宣伝することが行われています。
J.K.: 「ステマ」には法的な規制がないのでしょうか。
三上: アメリカでは消費者行政を担う連邦取引委員会(FTC)が法律で、SNSなどのインフルエンサーのステルスマーケティングを規制。去年の10月、アマゾン・ドット・コムなど700社以上に、ステマや偽レビューなどの広告手法を行った場合、高額な罰金を科す可能性があるという警告文を送ったことを公表しています。しかし日本では口コミ・SNSマーケティングの業界団体が、PRであることを明記するなどのガイドラインを出しているだけで、法規制はありませんでした。
J.K.: そこで日本でも規制がスタートということですね。
三上: 政府は直接法的な規制をかけるべく、9月中にも有識者による検討会議で法律改正も含めた協議に入り、来年にはスタートする予定。消費者庁が判断すれば事業者に命令を出し、事業者名も公表。従わない場合は刑事手続きで法人への3億円以下の罰金や個人への2年以下の懲役などを科せるというもの。米欧の動きに足並みをあわせることになりそう。「インフルエンサー」は自分があげた商品紹介に「提供を受けた」「広告です」と明記する必要が出て、従来のやり方で収入を得るのは難しくなるでしょう。