今週は商品ジャーナリストの北村森さんに、新型コロナ禍で苦境の飲食業に台頭する「幽霊レストラン」について解説していただきます。

J.K. そもそも「幽霊レストラン」とはどういうものですか?

北村: デリバリーに特化した飲食業で、実店舗があってもお客さんを入れない、またはそもそも飲食店としては営業しておらず、キッチンだけがあって「Uber Eats」や「DEMAEKAN」などの注文を受けて調理する業態。

J.K.そういえば、近くにそんなお店があったのか、と思うこともありますね?

北村: 従来のピザやお寿司、弁当など定番メニューの「出前」とは全く異なり、ネットを見て美味しそうと思えるメニューが最優先なので、単品勝負の看板メニューがある飲食店以外は、それぞれ工夫を凝らすことになる。新メニューの開発など、飲食のコンサルタントによるアドバイスなどで多種多様な飲食業に携わる人々が参入していて、接客がないので効率を重視するのがポイント。

J.K. かなり当たり外れがでてくる気もするのですが?

北村: この「幽霊レストラン」、いまお話ししたように、すでに存在する飲食店が副業として参入するケースが多い。つまり、料理の技術は「幽霊」ではなくて「ちゃんとある」とも推測できる。そう考えると、一定水準の料理がデリバリーされると、ある程度は期待していいかも。期待はずれの「幽霊レストラン」はネットクチコミが定着している時代だけに、すぐに淘汰されるだろう。

J.K. 今後の展開はどうなりそうでしょうか?

北村: シューズや文具、生活雑貨などのEC(ネット通販サイト)でよく聞くのは「リアルの店舗を持っておくことがアピール力のアップには重要」という話。ただし今回の「幽霊レストラン」は真逆で、そこが面白いところ。同じ場所で複数の「幽霊レストラン」か存在することもある。料理デリバリーの業界が今後もニーズを保ち続けると考えるならば、「幽霊レストラン」も定着するだろう。個人的には「実力派の覆面シェフによる幽霊レストラン」なども出てほしい。値段がちょっと高くても...。料理の出来映えから、「このシェフ、誰だろう」と想像したくなるような。