今週は経済評論家の加谷珪一さんに、「ふるさと納税」について解説していただきます。回線が繋がっています。おはようございます。
J.K.: 年末になりふるさと納税をかけこみで申し込む、という方もいると思います。
加谷: 昨年度の実績は、金額ベースでは、およそ6725億円と前年度比でおよそ1.4倍に、件数でもおよそ3,489万件と前年度比およそ1.5倍。おととし6月から、過度な返礼品を規制する新たな制度が導入された影響で、2019年度は寄付額が減少しましたが、昨年度は利用者が大幅に増加して過去最高を更新。今年もそうした勢いがあります。
J.K.: 一方で東京など大都市では、本来入るはずの住民税収入が下る、という問題も起っているようですね。
加谷: ふるさと納税で応援したい自治体に寄付すると、所得税や住んでいる自治体に納める住民税が軽減されるので減収となる。それだけでなく、全国1741市区町村の2020年度の「収支」を毎日新聞が集計したところ、東京都内の市区町村と全国の政令市を除いても、23%に当たる394自治体が赤字だったということです。
J.K.: 寄付を受け入れても、総額から住民税の減収額と、返礼品にかかる経費差し引くと赤字のままということですか?
加谷: 都市から地方にある程度お金が流れている構図ですが、恩恵を受けているのは「肉」など魅力ある返礼品を持つ自治体に限られている可能性が...。もともと財政基盤が弱い地方の自治体にとって、赤字の規模次第では、ふるさと納税でさらに傷が深くなることもある。