生活経済ジャーナリストの和泉昭子さんに、生活経済の観点から解説していただきます。今朝はいよいよ12月にはいって、今年のクリスマス・年末商戦についてお伺いしたいと思います。回線が繋がっています。おはようございます。

J.K. アメリカでは一般的な「ブラックフライデー」が日本でも浸透してきましたね。

和泉: 多国籍eコマース企業Shopify(ショッピファイ)によると、11月26日から11月29日に開催された「ブラックフライデーとサイバーマンデー」で、流通総額が63億ドル(およそ7140億円)を達成したと発表。昨年より23%増、コロナ前の2019年に比べて2倍以上で、過去最高額です。日本では人気カテゴリーのトップは、アパレル&アクセサリー。金額も昨年より微増しています。

J.K. ただネットは活況でも、リアル店舗の動向はどうでしょうか。

和泉: ブラックフライデーは、オンラインだけでなく、イオンやコストコ、トイザらスなどのリアル店舗でも広く実施されるようになり、期間中店内の混雑が心配されるほど定着してきています。百貨店も11月は入店客数が大幅に増え、売り上げも前年同月に比べ1~2割アップしています。とはいえ昨年以降、新型コロナの影響もあり、世界的に買い物スタイルがオフラインからオンラインに移行し、特に若い世代にとっては常態化しそう。お歳暮・お中元も減っていますし、包装紙を気にする(三越の包装紙でくるまれていることが大切等)価値観がなくなっているかも知れません。

J.K. 年末商戦と同時に、新年の福袋の話題も出ていますね...。

和泉: 2022年の新春福袋、各百貨店がすでに傾向を発表しています。おうち時間充実とか、年末年始を豊かにする贅沢フード・ドリンクなど、時節を反映したものも多いのと、「ネタばれ」で中身が最初からわかっている福袋や、年内に届く、年間サブスクなど、従来の福袋の概念を覆す企画もあります。

J.K. 今年の年末商戦の特徴的な傾向はあるのでしょうか。

和泉: ズバリ「値上げ」と「品不足」がキーワードです。アメリカの港湾問題に加え、原油価格の高騰で包装資材、輸送、ビニールハウス等のコストなどが上がっていることが「値上げ」は大きな要因です。中国各地で電力の供給が制限されて工場の操業が停止したり、東南アジアの工場では、外国人労働者が不足していることも深刻です。2年ぶりに明るい年末年始を期待していただけに、ちょっと不安材料ある年末商戦になりそうです。