来月からスタートする「デジタル庁」について解説していただきます。

J.K.: デジタル庁の創設の目的は、組織の縦割りを排し、国全体のデジタル化ということですが、今までなかなかうまくいかなかった難題ですよね。具体的にはどのような組織で、これから何が行われるのでしょうか。

三上: 内閣府直属の省庁で、内閣総理大臣から各省庁に勧告できるデジタル関連では各省庁よりも立場が上に来る組織となり、強い権限を持つ。5年で政府や自治体だけでなく、国民が使うマイナンバーカードなど全てのデジタル化に取り組み、各省庁、自治体をデジタルで一気通貫の仕事ができるようにお膳立てをする立場となる。結果としての細かい施策として押印廃止、マイナンバーカードなどがある。

J.K.: 今後の課題や、システムの統合などはどうなっていくのでしょうか。

三上: 様々なシステムが地方も含めて縦割りになっていることの解決については全国に1100ある自治体がそれぞれ別のシステムを別予算で導入していたので、自治体や省庁がバラバラに導入しているシステム・データ形式を共通化するという「ガバメントクラウド」の構築が最大の仕事。過去の特定給付金の悪い例とされる、申込みはデジタルだったが、自治体で紙に印刷していた、ということがなく統一した仕様で業務を進められる。

J.K.: 事務方のトップに、一橋大学名誉教授の石倉洋子さんを起用する方向、というニュースも今週ようやく入りました。

三上: リーダーシップを発揮して調整を進めて行くことがキーポイント。一番大事なのはまず実施のための「予算」が必要で、その次に国民を納得させる「安全」なセキュリティが大切となる。事務方はデジタルに詳しい人というより経営・ビジネスのプロフェッショナルを登用し、交渉、調整、政治という面での起用だと思われる。ただし壮大なプロジェクトだけに5年で終わるかどうかはわからない。