第一生命経済研究所の藤代宏一さんに、解説していただきます。

藤代: 最近中国でゲームや塾に対する規制が強まっていることについて

J.K. 中国政府の狙いは何なのでしょうか?

藤代: この数ヶ月、中国の政策当局が民間企業、特に先進的なIT企業を中心に規制を強めていて、塾やゲームに対する規制もその一つと考えられます。塾に関しては、今後新規開設を認めない、既存の塾は非営利団体に転換、費用(月謝)については政府のガイドラインに従わせるという内容です。かつて一人っ子政策の下で教育熱が高まり、教育費が高騰したので、それが格差拡大に拍車をかける、と問題意識を持ったと思われます。

J.K. そして中国でもオンラインゲームは盛んで、それも規制対象なのですか?

藤代: ゲーム市場は巨大で、特に子供に対して、その熱狂を問題視したようです。かつてのアヘン戦争を引き合いに出してゲームはアヘンだと、麻薬的な依存症があるとしました。オンラインゲームを提供するIT企業に対して強い規制をかける姿勢を明確にしました。

J.K. こうした規制強化にはどういう流れがあり、経済への影響はありますか。

藤代: 大きな背景として、格差拡大と人口減少に対する危機感があると思います。塾は教育費の上昇によって子育てが困難になると、日本のように人口構成が歪んでしまう。一部の裕福な家庭が受験戦争で勝ち、中間層以下は高度な教育を受けられない構図が続くと、少子化に拍車がかかります。このように教育を重点課題としている時に、ゲームで夢中になって教育の質が落ちてしまっては元も子もない、という問題意識でしょう。実は、この他にも不動産、情報産業に対しても規制強化の流れがあり、大きく見れば、中国が民間ではなく国家主導で経済を回していくという、トレンドです。規制緩和が原則の日本やアメリカと考え方が全然違います。