ここからは航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さんに解説していただきます。自動車の世界では、各国でガソリン車の新車販売を将来的に禁止するなどEV(電気自動車)へのシフトが進みそうです。原油から精製する航空燃料を使う飛行機については今後どうなっていくのでしょうか。
J.K.: まず電動飛行機ですが、どのようなメカニズムなのでしょう。
鳥海: ジェット・エンジンの部分をモーターにして電池を積んでいる...など。飛行時のエネルギー消費を抑え、温暖化ガス排出量を抑制できる。小型のものであれば、遠隔操作でパイロットも不要であり、広い公園や駐車場などからも飛ばすことができるメリットがあります。
わかりやすく説明すると「電動」「自動操縦」「垂直離着陸」がイメージです。ドローンの技術も活用されており、ドローンに人を乗せるというイメージもできます。
J.K.:空飛ぶクルマにはどのようなものがあるのでしょうか。
鳥海: 主に3タイプある。一番小さいものは、垂直に離着陸し滑走路が不要な「空飛ぶクルマ」。次に数人~十数人乗りで、滑走路から飛ぶ小型機。3つめは数十人以上が乗る中大型機。航続距離も大きくなればなるほど伸びるので開発は困難。
J.K.: どれくらい実用化が近づいているのでしょうか。
鳥海: 空飛ぶクルマは2023年の実用化が期待される。トヨタ自動車が出資するアメリカのジョビー・アビエーションは時速320キロで240キロ以上を飛ぶ5人乗りの機体を開発し、23年にも商業飛行を始める。
J.K.: 小型機ではいかがでしょうか。
鳥海: 小型機は試験飛行がいよいよ本格化する段階。ロールス・ロイスは今夏にも初の試験飛行をする。世界最速の時速約およそ480キロが目標。6000個の電池や独自の冷却システムを積み、2026年にノルウェーの国内線向けに小型機を提供するという。それ以外でも日本国内では2025年度にANAやJALなども「空飛ぶクルマ」を使った事業を乗り出し、大阪万博開催の際に実用化したいという動きがあります。
J.K.:今後の課題にはどのようなものがあるでしょうか。
鳥海: コスト面をヘリコプターに比べてどのくらい下げられるのか、モーターや電池の技術革新、運用ルールなどの課題があり、現在、国土交通省航空局を中心に官民が一緒になってルール作りをしています。
J.K.:航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さん、ありがとうございました。