藤代: 今朝はアメリカの景気回復が想定以上で、早くも景気過熱が焦点になりつつあることについてです

J.K. アメリカの中央銀行(FRB)が方向転換?などという話もあるようですね。

藤代: 今現在は昨年のコロナ対応で導入した大胆な金融緩和を継続しています。ただし、来年の初頭には量的緩和と呼ばれる緩和策、具体的には国債を買って長期金利に下押し圧力をかける政策を徐々に止める方向で動くと見られています。また2023年には、景気にブレーキをかけるために政策金利の引き上げに動くと市場関係者は予想しています。同時にFRBも自らそうした計画のようなものを提示しています。

J.K.: もう景気を刺激しなくても平気な状態ということですか?

藤代: 実のところ失業率は今6%と、まだコロナの前に比べて高いままです。完全回復とは言い難いのですが、ここにはウラがあって、今アメリカでは特例措置として手厚い失業給付があるので、仕事に就くと逆に収入が下がるケースもあります。それなので戦略的に失業したままの人が相当数いると思われます。一方の企業は、かつて経験したことのないレベルで人手不足感が強まっています。失業給付の特例措置が切れるのは9月。さすがにその頃になると、仕事に復帰する人が増えると予想されますから、失業率は一気に低下する、ここまで見えているのが現状です。

J.K. これは回復途上にある日本経済にどう影響しますか?

藤代: 現在は、アメリカ人の旺盛な消費、自動車、スマホ、家電などの売れ行きがよく、日本製の製品・部品の輸出が極めて好調です。輸出はアメリカ向け主導で過去最高を更新中です。ただ先行きは今ほどの勢いはなくなって、日本への追い風は弱まりそうです。そうなると日本経済全体としては、減速していますので、その穴を埋めるという意味において、日本の政府当局の重要性が増してきます。個人消費を刺激するための景気対策をどれくらいの規模で打ち出すか注目です。GOTO事業の再開を含め、個人消費を直接的に強く刺激する景気対策に期待です。