今週はITジャーナリストの三上洋さんに、デジタルコンテンツ取引における新しい流れを解説していただきます。
J.K. VR(仮想現実)で3Dペインティングを行っている、せきぐちあいみさんの作品におよそ1300万円の値段がついた、というのが話題になりましたね。
三上: アートや動画などデジタルコンテンツがビットコインなどの暗号通貨でも使うブロックチェーン技術で管理することで、所有権が与えられるというもの。NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)といい、ブロックチェーン上で発行され、流通し、偽造できない鑑定書と所有証明書が付いています。実際の現物はないデジタルコンテンツに、ホンモノの証明があることで、マーケットが生まれ、電子市場での売買が可能になります。
J.K.: コピーしたものが出回ることはないのですか?
三上: 所有権は与えられるものの、誰もが閲覧できるのが、これまでの実物の所有するという概念とは大きく異なります。落札した人が得られるのは、NFTという 「その作品は私のもの」という声明のようなもの。それがデジタルの唯一無二だというトークン(証拠)になります。暗号資産の所有者であるという鑑定書のような役割を果たします。
J.K.: 今後はデジタルアート作品以外にも拡がる展開があるのでしょうか?
三上: 紙の出版物の売り上げが年々落ち込む中、漫画を中心に電子書籍が伸びています。ここで売られているのは、所有権ではなく閲覧権なのです。DRM(デジタル著作権管理)でコピー制限がされ、購入者に所有権がないため、例えばオークションサイトなどでは売買ができません。NFTだと、この電子書籍の仕組みを変えることになるかも知れません。