航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さんに、フランスの航空会社エール・フランスの国内線大幅減便というニュースについて解説していただきます。

J.K. コロナ禍で減収のエール・フランスに政府が追い討ちをかけるように国内線をさらに40%削減する法案が施行されそう、ということですが、これはどういうことなのでしょうか。

鳥海: 日本でいえば東京=大阪間の距離に該当する高速列車で片道2時間半以内の距離においては、飛行機ではなく鉄道を使うことでCO2排出を減らし、環境問題に取り組む姿勢を国内外に示すということになります。特に最近ではグレタさんが発信している「飛び恥」という言葉も浸透したこともあり、その流れがヨーロッパ内では特に強くなっています。

J.K. フランスに東京=大阪間のような近距離のドル箱路線はありますか。

鳥海: それほど多くはありません。例えばパリから南仏の玄関口であるニースまで高速列車「TGV」を使っても5時間近くかかります。2時間半以内だと、ディジョンやナントなど、ワインで有名なボルドーへも3時間弱かかります。

J.K.: かなり思いきった法律ですが、実効性はあるのでしょうか。また他国への影響はあるのでしょうか。

鳥海: 実効性はあると思います。飛行機路線が減ればより鉄道網が充実することになるからです。この政策が実行できるのは高速鉄道網が充実している国のみです。なので鉄道網が弱いアメリカで実現することは難しいです。日本については世界で最高水準の高速鉄道網が新幹線という形で整備され、2時間半以内のマーケットは一部飛行機が飛んでいますが、圧倒的に鉄道比率が高いので既に実現できていると考えています。ただヨーロッパ内では今後浸透していくことは間違いないと思います。

J.K. 航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さんでした。