藤代: やりすぎじゃないかと言われているアメリカの景気対策について

J.K.: 総額1.9兆ドル(200兆円)と報道されている規模はどう考えますか?

藤代: アメリカのGDP比30%に相当する規模で、日本の国家予算の2倍くらい。こう表現するよりもアメリカ人の所得がどれだけ増えたかを説明する方がわかりやすいと思います。まずコロナの前はどうだったかというと、だいたい1年あたり4~6%程度で所得が増えてきました。増加の内訳は雇用者数が2〜3%増え、一人当たり賃金も2〜3%増える、という具合です。

J.K.: では、今はどんな状況ですか?

藤代: 失業が大量に発生して収入が減っているかと思いきや、実際は今年1月に13%も増加しています。過去20年くらいの線グラフにすると、今は垂直に伸びて、グラフの枠を突き抜けるイメージです。増加の背景は給付金。昨年末に決まり、今年1月に一人600ドル(6万円)が支給されました。これによって収入が2ケタで増加していますから、財、モノがよく売れていて自動車、住宅、それに付随して家具、家電が販売を伸ばしています。

J.K.: 収入がすごく増えているとのことですが、ここから更に景気対策ということ?

藤代: 信じがたいことに、追加で1400ドルの給付金が支給されます。その他に失業保険の上乗せ、子育て中の家計に別途、支援措置もあります。既に13%も増加している収入が一段と増加して、コロナ前との比較では20%を超えることになりそうです。過去にそんな桁違いの収入増加はありませんでした。もちろん、これは短期的な景気にはプラスですが、やや長い目で見ると、将来の増税、特に大企業は負担が重くなるという、副作用があり、ここ数日、株価が下げている理由の一つです。景気対策のやりすぎで景気が過熱して、盛大なバブルが来るのではという話もあれば、増税懸念による株安を心配するという話もあり、景気を読むことが改めて難しいと思いました。