藤代: 日経平均が30年ぶりに3万円台を回復したことについて

J.K. 1990年以来の高値ですよね。どんな背景ですか?

藤代: 今週発表された日本の実質GDP。10月から12月にかけて日本経済が想定以上のペースで持ち直していることが示されました。昨年4-6月期の落ち込みを9割回復しています。良くも悪くもコロナの打撃が飲食店に集中それ以外の特に製造業が力強く回復しました。半年くらい前はコロナ以前の状態を取り戻すのに2024年くらいまでかかると予想されていましたが、最新の数値を踏まえての、当社予想は回復時期を2022年春に前倒ししました。こうした経済の底堅さが株価上昇一因になっています。

J.K. 3万円と聞くと、どうしても「バブル」をイメージしますが、大丈夫ですか?

藤代: 同じ3万円でも、30年前との比較では、今の方が違和感は小さいです。当時は世界の時価総額ランキング上位を日本企業が、独占状態にあるという異常な状態でしたが、現在は30位あたりにランクインするのが精一杯の状況です。つまり日本の株価だけが異常に上昇しているわけではない、ということです。それと、当時と違って人々の生活に派手さがみられないというのも重要なことかもしれません。

J.K. バブルの頃は何かにつけて派手でした。

藤代: 細かい事ですが「バブルが終わっても派手だった」と付け加えた方が良いのかもしれません。バブル期の派手さを象徴するものとしてジュリアナ東京があります。ジュリアナ東京ができたのは1991年、全盛期は92-93年でした。その当時の株価はというと、最高値を付けたのは89年末の3万9千円、その後90年末に2万4千円まで暴落して、それでも下げ止まらず、92年には一時1万4千円まで下げます。つまりジュリア全盛期は、株価がピーク時の半分から1/3近くまで暴落していた時です。ジュリアナ東京で扇子を振って踊る映像は、日本が株高で浮かれている様子を表現する際によく登場しますが、実はちょっと時期がずれています。つまり当時は、株価が暴落しているのに、それでも人々は熱狂、楽観から覚めることがなかったということかもしれません。当時に比べると最近の株高は、いい意味で警戒感が残っていると思います。