藤代: 今朝は景気の肌感覚と株価が大きくずれていることについてです

J.K. 景気が良いとは思えませんが、株価はよく上がりますね

藤代: まず「景気が悪い」という感覚、経済指標でも浮き彫りになっています。内閣府発表の景気ウォッチャー調査という指標は、12月に急低下した後、1月も低水準に沈んでいます。深刻なのは、飲食店を中心に対面、移動、集合を伴うサービス業。景況感はグラフの底辺に近いところまで垂直的に落ちています。閑散とした飲食店をみていることもあり、景気が悪くなっている、と人々が肌で感じるのは事実だと思います。

J.K. それでも株価があがる、どういうことですか?

藤代: ここで、良くも悪くもコロナの打撃が飲食店に集中している、ということを改めて認識する必要があると思います。これが、景気の肌感覚と株価がずれる重要なポイントです。飲食店経営者の大多数は個人事業主か中小企業ですから、そもそも株価との直接的な関係はありません。普段は「株式市場の空気」と「街角の雰囲気」は一致することが多いのですが、今回はかなりレアケースで、街角が閑散とするにも関わらず、実のところ12月の日本の個人消費は、前年比マイナス0.6%と、コロナ前と同水準ですし、企業収益も急回復しています。

J.K. 企業の収益が持ち直しているというニュースも多いですね。

藤代: 世界的に「モノ」が良く売れているからです。自動車、家電、スマホ、そして次世代通信規格5G通信の普及によって電子部品が絶好調。製造業では業績が過去最高を更新している企業が数多くあります。ここで一番重要なポイント。30年ぶりの高値を更新している日経平均株価は、225社の株価を平均したもの。そのおよそ6割は製造業。つまり、株価の上昇は製造業の回復を反映したもの、という単純な結論と、考えることできます。街角の空気と、企業の業績、特に製造業は、今、正反対と言っても良いくらい違います。裏を返せば、コロナが終わり街角も元気を取り戻せば、景気はかなり強くなると考えることもできます。