藤代: 経済的な視点からイスラエルのコロナ感染状況についてです

J.K. イスラエルに注目というのはまた、なぜでしょう

藤代: 世界最速のペースでワクチンの接種が進んでいるからです。12月中旬にワクチン接種が開始され、人口900万人弱に対して、年始の段階で既に100万人、最新のデータでは接種率が3割に達しています。欧米諸国の接種率は、まだ1桁%ですから、群を抜いています。イスラエルの足もとの感染者数はまだ増加傾向にありますが、感染者数の増加率をみると、スローダウンしていて、このままなら向こう数週間で減少に転じそうです。

J.K. そういう明るいデータがあるんですね。

藤代: ワクチンと感染者数の因果関係について、私は具体的言及を避けますが、それでも今後、感染状況が一段と改善すれば、ワクチン接種の有効性が注目され、世界経済の正常化に対する期待が膨らむと思います。イスラエルのコロナ感染状況は、世界経済の先行指標として注目すべきデータになっています。ワクチン接種がどれだけ進むと、どの段階で感染状況が安定し、経済が正常化に向かうのか、その時間軸を参考にすることができるからです。

J.K. 経済の早い回復が望まれますね。

藤代: もちろんです。ただ、金融マーケットでは、世界的な株価下落に繋がる可能性があると指摘されています。何ともひねくれているのですが、2020年とは反対にコロナ感染状況が好転すると、景気刺激策がなくなり、金融市場では株式を売る動きが強まるとの見方です。本来株価は景気の強さを映すものですが、最近は逆の動きをすることが増えています。株価下落が景気回復のサインになることもあるので、ニュースで株価を見る時は、この視点を頭の片隅に入れておくことをお勧めします。