藤代: 今朝は日銀が株式を購入していることについてお話しします

J.K. 詳しく教えていただけますか?

藤代: 2010年から日銀は株式を購入しています。具体的にはETFという日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)という株価指数に連動する投資信託です。目的は、日銀自らがリスクをとることによって、民間部門の経済活動を促すことです。当初の買入れ枠は4500億円だったのですが、その後増額を繰り返し、現在は原則として年間6兆円、コロナが収まるまでの時限的措置として年間12兆円に膨れ上がっています。

J.K. これが最近の株高の理由ですか?

藤代: はい。ただし、あくまで株価上昇の一つの理由に過ぎないと思います。 「日銀バブル」といった表現もありますが、株式の購入自体は何年も継続しているわけですから、最近の株価上昇を日銀の株式購入で説明するのは少し無理があると思います。とはいえ、株価がおよそ30年ぶりの高値を付けるなかで「今買う必要あるのか?バブルを助長するのでは?」という声が増えているのは事実です。

J.K. それでは日銀は株式の買入れをやめるのですか?

藤代: 日銀は3月にこれまでの金融政策における効果の分析結果を発表する予定です。一部では、その分析結果を踏まえ、株式の買入れペースを落とすとの見方があります。しかし個人的には現在の買入れ方針6兆円を維持すると思います。株価は、政策を担う人の「通信簿」でもあります。特にここ数年、老後の年金を個人が株式などで運用する制度が整うなど、株式投資のすそ野が広がっていますから、良くも悪くも、株価を下げる恐れがある政策は採りにくいと思います。いくら今の株価が高いと言っても、株価下落の危険を冒してまでも買入額を減額するのはハードルが高いと考えます。最後に一番重要なのは、日銀が買うからといって、株価が上がり続けるという単純な話ではない、ということです。あくまで株価上昇における、たくさんの要因のひとつと考えます。