藤代: 投資家目線では、コロナではワクチン投与が世界的に進むこともあって、2021年は去年に比べてコロナ感染状況が好転すると期待されています。最近の株高はまさにそれを物語っていると思います。経済全体で今年は期待が持てそうですが、個人的に少し心配なのは「需要の先食い」です。

J.K.: 「需要の先食い」とは、どういうことですか?

藤代: まず、2020年の世界的な消費動向を整理すると、コロナによって飲食店のように人と人が接する対面型のサービス業、旅行・出張、オフィスへの出社など移動を伴う経済活動が大幅に制限されました。一方で本来はそうしたことに使われるはずだったおカネが、「財」「モノ」の消費に向かいました。世界的な傾向として家電、PC、スマホ・タブレット、家具がよく売れ、特にアメリカや中国では住宅、自動車もかなり売れました。これらよく売れた製品というのは、何れも耐久財と呼ばれるものです。

J.K.: たしかに家電、家具、自動車ましてや住宅は頻繁に買いませんね。

藤代: 世界的に耐久財がよく売れた背景に「需要の先食い」があると思います。外食、旅行に制限がかかるなか、本来なら少し先の将来(22・23・24年)に購入していたであろう製品が給付金もあって前倒し購入された可能性があります。とすると、今年コロナの感染状況が期待どおり改善したとしても、意外なことに「モノ」特に耐久財は売れない可能性があります。もちろん、サービス消費の劇的な改善によって、経済全体として大幅なプラスが期待されますが、去年よく売れたモノについては、今年も売れるとは限らない、むしろ反動減が懸念されます。ほとんど注目されていないポイントですが、ここは慎重にみておきたいところです。