藤代: 今週発表された日本のGDPについて

J.K. かなり回復したという報道でしたが、どんな結果でしたか?

藤代: 今週発表された7−9月期のGDP,国内総生産は4−6月期に比べて5%回復しました。高度経済成長期並みの伸び率ですが、春先にマイナス8.2%というかつてない落ち込みを記録したその反動なので必ずしも力強い回復とは言えません。そして、この数値には落とし穴がありますので、少し解説を加えたいと思います。

J.K. およそ8%減った後に5%回復。ここに落とし穴。どういうことでしょうか? 

藤代: マイナス8%のあとにプラス5%なので、残りマイナス3%となりそうですが、そうではありません。わかりやすくするために基準を100にして計算してみます。まず100あった数値が8%減ると92です。この次がポイントです。8%回復したら100に戻るのではなくて、92を起点にしてそこに8%を上乗せしますので、92×1.08。答えは99.3です。8%減った後に100まで回復するにはだいたい9%伸びないといけません。

J.K. ということは、8%減った後に5%回復は、道半ばということですね?

藤代: コロナ直前の水準を4%くらい下回ったまま、もう少し遡ると201910月の消費増税前の水準を6%も下回っています。この6%は大きいのか?すごく大きいです。というのも、過去10年程度、日本の経済成長率は平均で1%弱です。単純計算で完全回復まで6年かかることになります。

もちろん、コロナが終息する過程では1%よりも速いペースで経済が復活していくと期待されますから、そこまで時間がかかる可能性は低いと思いますが、6%の落ち込みは、小さいようにみえて、とても大きな数字であることがわかると思います。ちなみに今日の伸び率と水準の感覚的なズレは、日常よく見かけますので、色々なものに応用できると思います。