藤代: 今朝は日経平均株価が29年ぶり高値を更新したことについてです。

J.K. 世界的に株価は上昇しているようですね

藤代: 今週ワクチン開発に関する明るい報道があって、それを受けてコロナで打撃を被った航空、鉄道、ホテル等を手掛ける企業の株が世界的に上昇しました。加えて日本では製造業の株価が上がっています。自動車関連は、アメリカ、中国向けの輸出が増加して業績がはっきりと回復していますし、半導体を中心に電子部品関連も好調です。そして、ここへ来てサービス業にも少しずつ明るいデータが増えてきました。

J.K. 依然状況は厳しいように見えますが、どんな明るいデータがありますか?

藤代: 景気ウォッチャー調査という内閣府が発表する指標です。ユニークな指標でスーパー、コンビニ、商店街の組合代表者、タクシードライバーといった消費者に近い立場でビジネスを営む方々に「3ヶ月前との比較で今の景気はどうですか?」というシンプルな質問の答えを数値化したデータです。全体の数値は2014年1月以来の水準に戻り、飲食店に限って言えば2000年の統計開始以来で最も高水準となり、かなりの改善です。

J.K. 回復しているとのことですが、実感とは少しズレている気がします。

藤代: この指標に限らず、データを見る時に注意が必要な点があります。それは「〇〇と比べて、現在の景気は?」と質問しているものがあり、この指標もそうですが3ヶ月前と比べて、と聞いている場合、現在のような局面では数値が極めて強くでるクセがあります。したがって、この指標の強い数値は割り引いて評価する必要があります。ただし実際に消費者に近いところでビジネスをしている人が、景気は改善傾向にあると答えているというのも事実なので、株価は実体を伴っていないとの指摘もありますが、街角の景気が明るさを取り戻しつつあることは認識する必要があります。