藤代: 大統領選を踏まえ、最近の株高について

J.K. 日経平均は2万4千を回復、選挙後に株価上昇しましたが、背景は?

藤代: 正直なところよくわかりませんが、アメリカの株価上昇に追随しました。選挙結果はまだ判明していませんが、金融市場ではバイデン大統領、上院が共和党、下院が民主党。これを想定している模様です。仮にこうなると、議会のねじれが続くことを意味しますから、経済対策がスムーズに決まらない可能性があります。ただ、株価はトランプさん優勢の報道にもバイデンさんの優勢の報道にもどちらも上昇で反応しました。合理的に説明するのは難しいとしか言いようがありません。

J.K. いずれにせよ株価は上げました。先行きへの期待が強いのですか?

藤代: ここで大統領選は一旦置いておいて、この半年の日米経済をみてみると、過去の景気後退局面に比べて回復が早いという特徴があり、先行きの期待を高めていると思います。経済全体では、対面が主のサービス業は大変な状況ですが、一方で製造業の回復は順調です。これは旅行や、外食に使われるはずだったおカネがモノの購入に向かっていること、それ以外の要因として大きいのは「不良在庫」が少ないことがあります。

J.K. 「不良在庫」、つまりは売れ残りということですよね?

藤代: はい。通常の景気後退局面はジワリとくるので、消費の落ち込みに対して、企業の生産調整(生産を減らす動き)が追い付かず、結果として過剰な在庫が発生します。消費が回復しても、直ちに生産活動が回復しないため、不景気が長く続いてしまいます。それに対して今回は3~5月に急ブレーキをかけて生産をストップさせ、売れ残りが少ないので、国内外の消費回復をうけて生産活動が鋭く復活しています。したがって、最近は製造業を中心に企業収益が回復して株価上昇に繋がっています。もちろん、大統領選は重要ですが、こうした経済の回復があることが極めて重要です。大統領選だけで経済は決まらない、ということだと思います。