藤代: 最近、日本とアメリカで個人投資家が急増していることについて

J.K. 個人で株を取引きする方が増えているんですか?

藤代: まず日本の状況は、オンライン中心に証券会社の取引が増加しています。背景は3月の株価暴落をチャンスと考えた人が多かったこと、そして在宅勤務で仕事中にスマホでポチっと取引できるようになったことです。マネーゲーム感覚で短期間の売買を繰り返す方も多いようですが、最近は規模が小さいけれども、成長性のある企業の株が人気で、そうした銘柄が多く含まれるマザーズという株価指数がかなり上昇しています。メルカリ、コロナワクチンで話題のアンジェスという企業などが含まれます。

J.K. アメリカでも似た状況なのでしょうか?

藤代: 控えめに言って、すごいことになっています。ロビンフッダーという言葉がトレンドです。株を手数料無料で取引できる、ロビンフッドというアプリのユーザーです。3月からユーザー数、そしてもちろん株式を保有する人も著しく増加しています。アマゾン、ネットフリックス、フェイスブック、Apple、テスラなど有名企業が特に人気で、ロビンフッダーの買いが相場全体に無視できない影響を与えています。一方でカジノ感覚の取引もあります。破産して紙切れになる事が決っている株を売買し、利益を狙う取引も流行っています。

J.K.: アメリカでは、なぜここまでのブームになったのでしょうか?

藤代: 政府から一人当たり13万円の給付金が支給され、失業者には毎週平均で10万円強の失業保険が支払われています。アメリカの家計全体でみると、現在はコロナ前よりも収入が潤った状態にあります。一方でおカネを使う機会は限られているの、「ならば株を!」という流れになっている模様です。圧巻は「銀」です。普段、投資対象としての存在感は地味なんですが、どういう訳かロビンフッダーの目に留まったらしく、突然買いが殺到し、銀の国際価格が急上昇しました。ロビンフッダー経由の買い注文を折れ線グラフにすると7月になって垂直に跳ね上がっています。このロビンフッダーの動向は、最近専門家の間でも注目されています。