藤代: アメリカ大統領選がアメリカ経済に与える影響について

J.K.: 11月の大統領選に向け、トランプさんが失速気味という報道もあります。

藤代: コロナ問題と人種差別問題の怒りの矛先が、トランプさんに向かうなか、民主党のバイデンさんの人気が高まっています。大統領選を予想する賭けサイトをみると、バイデンさんの当選を予想する割合が、トランプさん以上に高まっています。バイデンさんは今年78歳と年齢の問題もあり、「人気はあっても、さすがに大統領は・・」という感じだったのですが、ここへ来て大統領就任が現実味を帯びています。

J.K.: どちらが勝つかは微妙ですが、金融マーケットからの見方はどうですか?

藤代: 一般論として、共和党は企業に優しく、短期的な経済成長を追いかける性格が強いのに対し、民主党は庶民寄りで、格差是正など中長期的な課題に取り組む傾向があります。ゆえに株式市場は共和党のトランプさんが歓迎され、バイデンさんは少し警戒されるはずなのです。しかし最近はバイデンさんの大統領就任確率が高まっているにもかかわらず、株価上昇が続いていて、多くの市場関係者が頭を悩ませています。

J.K.: 民主党へと政権交代となった場合、どういう変化が予想されていますか?

藤代: 今、アメリカ経済で最も重要のなはコロナ問題への対処です。本来なら政権公約でかなり両者の色の違いがでる頃なのですが、良くも悪くも、今は民主党らしい政策目標が前面に打ち出されていません。当初はトランプさんが実施した法人税減税をひっくり返して、増税するといった話もあったのですが、さすがにこの状況で増税はタイミングが悪く、ひっこめている感じです。今はコロナ対策の経済政策が全てと言っても過言ではない状況ですから、民主党も共和党も、極端な違いがなくなっています。株式市場の安定をみる限り、金融マーケットも大統領選挙の明確な予測ができない、という文脈の説明が正しいように思えます。