藤代: 経済活動をリアルタイムで把握できるデータを紹介します。

ハリー: 今、経済活動は大幅に落ち込んでいますよね。

藤代: 世界的に移動制限や自粛となっているので経済活動は大幅に停滞しています。一方で、欧米に目を向けると、非常に厳格な移動制限が解除され始めて、少しずつ経済活動が再開しているようです。既に中国はかなり持ち直していすが、ここへ来てアメリカ、ドイツ、イタリア、スペイン、タイ、ベトナム、オーストラリアなどでそうした動きがあります。個別企業の動きをみても、日本の自動車メーカーが海外の工場で生産を再開する動きもあります。

ハリー: 感染抑制と経済活動のバランスをとりながら、ということですね?

藤代: そうした動きをリアルタイムで、誰でも無料で使えるデータがあります。Appleが公表している「移動傾向レポート(mobility trends report)」というものです。これは地図アプリの経路検索などを基に作成されていて徒歩、電車・バス、自動車それぞれの移動量が毎日更新されます。人々の移動距離と経済活動は、完全ではありませんが、密接に連動し、経済の強さを推計することができます。

これをみると、先ほど名前を上げた国では、徐々に人々の動きが復活しつつある、ということがわかり、エコノミストの間でも注目されはじめています。

ハリー: 日本の状況はどうでしょう。

藤代: あくまでこのデータから読み取れる傾向に過ぎませんが、日本特に東京では、自粛要請によってほとんど持ち直していません。ただこういったリアルタイムデータは今後経済が少しずつ持ち直すと期待されるなかで、ビジネスでの売り上げ予想、あるいは仕入れの量などを決める際の参考指標として使えると思います。もちろん「最近は人の量が増えたなぁ」という感覚も大切ですが、データを同時に見ることで、不透明感が少しでも和らぐのであれば、価値はあると思います。