藤代:今朝は経済の先行き不安感が和らいでいるというデータを紹介します。
ハリー: えっ、むしろ経済の先行き不安感については、強いのではないですか?
藤代:仰る通り日本、そして世界経済が完全に正常化するのには、かなりの時間がかかりそうです。なので、そうした下で不透明感の強い状態が続いています。一方世界の株式市場をみると、思いの外、持ち直し傾向がはっきりしています。日経平均株価は2万円を超えていますし、NYダウも24000ドルまで回復。それぞれ3月の暴落の半分くらいを取り戻しました。要するに金融市場の参加者は、経済の回復を前提にしつつあるということです。市場の参加者は、経済の回復を前提にしつつあるということです。
ハリー :経済の先行きを読む人々は、景気の持ち直しを予想しているということですね?
藤代: 市場参加者の心理を映し出すユニークな指標もあります。VIX指数という指標で通称「恐怖指数」と呼ばれます。これは投資家の経済見通しのバラツキをもとに算出します。一般的に人々は、恐怖心が強まった時に「最悪の事態」を想定するという傾向があるので、極端に弱気な予想をする人が増えると、バラツキが大きくなるという仕組みです。したがって、数値が高いのは、先行き不透明感の強さを意味します。VIX指数は、今年の3月中旬にリーマンショック時のレベルを突き抜けるほど上昇してしまった後、4月に入ってからジリジリと低下、あと少しで正常化レベルというところまで来ています。
ハリー :それでも、現実に目を向けると、まだまだ厳しい状況ですよね。
藤代: この話はあくまで金融市場の話で、その楽観的な見方が正しいとは限りません。ただしなんだかんだ言っても株価は景気の先行指標です。後から振り返ってみると株価は実際の景気が最悪の時に「底を打つ」つまり一番安い値段になる、ということも知られています。経済指標で悪い数字が出ているにもかかわらず、株価が底を打ったように見えるのは「経済が最悪期を脱したシグナル」なのかもしれない、と考えられます。最後に株価が上がっているからといっても、それは金融市場、つまり上場企業に限った話なので、そこは注意が必要です。