藤代 仮にオリンピックが中止された場合において、経済に与える影響についてです。

J.K. 現状ではIOCのバッハ会長は予定通り開催する、と明言していますね。

藤代 SNSなどで「オリンピックが中止になったら日本経済は崩壊!」などというコメントをいくつか見ました。そこで今日はオリンピックと景気の関係の現状を考えてみます。

J.K. オリンピックと景気の現時点でのポイントを整理してください。

藤代 オリンピックの経済効果としてはまず競技場や、交通インフラの整備を始めとする建設関連、そして開催期間中の訪日外国人の消費です。まず重要なこととしてオリンピックに伴う直接的な景気刺激効果としては、最初の建設関連の規模が圧倒的に大きいということです。ここで建設関連について明快な答えがあります。それは、既にほぼ全ての案件が完成していることです。新国立競技場は、既に完成しています。ここから発生した景気刺激効果は、もうほぼ全てその恩恵を受けたということになります。ある意味オリンピック景気はもう終わっているのです。

J.K. でも外国人の消費が減ったら大打撃ですよね?

藤代 オリンピックの開催期間中は、大勢の外国人が訪れる反面、その裏でオリンピック以外の目的で来る旅行客が減るため、トータルの訪日外国人が大幅に増えるということはないと思います。

意外なことに2012年のロンドン大会では、オリンピック期間中の外国人旅行客はむしろ減っています。ホテル、飛行機が高いので、オリンピックを避ける人達が多かったためです。

こうして考えると、オリンピックというのは、あくまで経済活動の一部で、本質的二重なのは、それ以外、つまり平常時の通常の経済活動ということがわかります。

まずは無事に開催に辿り着けることを祈りますが、それよりも新型コロナウィルスの終息が経済にとって最も重要と思います。