藤代: 新型コロナウィルスの報道と経済について

J.K.: 深刻な被害が出ているという報道が目立ちますね。

藤代: 報道をみると、新型コロナウィルスのマイナスの経済効果で被害額が「いくらいくら」といった試算があふれかえっています。今日はそういった数値との付き合い方について重要な視点を考えてみたいと思います。結論、よくテレビなどで見る数値は大半のケースで過大に見積もられています。

J.K.: どういうことですか??

藤代: そもそもある一つの出来事が発生した場合、ほぼ例外なくプラスとマイナスの要因が同時に発生します。たとえば、「阪神が優勝した場合の経済効果」といった場合、関西経済が刺激されて「100億円の経済効果!」などという数字が出たりします。そういった計算の落とし穴は「巨人が負けたマイナスの効果」が入ってないわけです。つまりプラスマイナスすると実はゼロに近くなる。このようなケースが多いわけです。

J.K.: なるほど物事にはプラスとマイナスがありますね。

藤代: ただし新型コロナウィルスについてはプラスよりマイナスが圧倒的に多いので、少なくとも短期的にはプラスマイナスゼロではないです。もう一つの重要な視点。新型コロナウィルスの蔓延はもとより、災害などはほぼ毎年、ほぼ全ての国で発生していることで、まさに日本もそうです。ここで、普段私達が接する「過去の実績」、たとえば、GDPという経済活動の規模を測る数値には、毎年発生しているマイナスの経済効果が含まれています。したがって、重要な点は、今回の被害が例年との比較で、どうだったのか、つまり「今回」と「例年・過去」との差だけをみるべきなのです。巷にあふれている被害額の数値がそっくりそのまま、今年の経済成長を下げるのではありません。また、今中国の方が外出できなくて、使えていないおカネは、事態が収束すれば、消費として出てくるはずです。現時点で想定されるマイナス面だけをみてはダメという結論です。